◆ 使われなくなった言葉 ◆
古い新聞を見ていたら、こんな言葉に出会いました。
「素晴らしい鐡道被害」
ちょっとびっくりしませんか?
これは、関東大震災の被害について書かれた新聞記事の見出しです。
地震の被害に「素晴らしい」なんて、今は使いませんよね。
「素晴らしい」には「程度がはなはだしい」「ものすごく」という意味があって、例えば「素晴らしく広い」「素晴らしく大きい」のように使います。
今は良いことにしか使いませんが、もともとは悪いことにも使われる言葉だったようです。
関東大震災のあった1923年(大正12年)当時は、まだ悪いことにも使っていたんですね。
「素晴らしい鉄道被害」とは、被害を讃えているわけではなく、
「ものすごい鉄道被害」という意味でした。
言葉って、100年でこんなに変わるんですね。
◆ 誤用が 誤用ではなくなった言葉 ◆
こんなふうに、使われなくなる言葉がある一方で、
かつては誤用と言われていた言葉が、たくさんの人が使うようになって、正しい日本語になる場合もあります。
例えば「雨模様」
私は小雨が降っている風景を思い浮かべますが、みなさんはどうでしょうか?
本来は「雨が降りそう」(←まだ降っていない)な空模様を表す言葉で、小雨が降っている状態を「雨模様」というのは、最近まで誤用とされていました。
でも今では、辞書によっては「小雨が降ったりやんだりしているようす」と載っています。
みんなが間違って使い始め、最後にはことばの意味の方がが変わった例でした。
もちろん、今までどおり、雨がまだ降っていない空を「雨模様」と言っても、間違いではありません。
降っているのか降っていないのか、いったいどっちなんだと、逆に迷ってしまいますね。
◆ 変わりつつある言葉◆
文化庁の令和3年度の「国語に関する世論調査」の中に、
「あの人は走るのがすごい速い」という表現を使うか、という調査がありました。文法上正しい言い方は「すごく速い」ですよね。
「すごい速い」を「使うことがある」と答えた人の割合は、59.0%。
「すごい速い」を人が使っているのが気になるか、という問いには79.2%の人が「気にならない」と答えています。
私も普段の会話では「すごい〇〇」と言ってしまいます。文字にするときは気がついたら直しますが、親しい人とのやりとりでは、そのままにしてしまうかも。
文法的な誤用には、このほかに「食べれる」「見れる」「来れる」などの「ら抜き言葉」もありますね。
こちらも会話ではだいぶ定着してきたものの、ビジネスシーンや書面上で使うのはまだ違和感があります。
よく「言葉の乱れ」と言われる誤用ですが、言葉は時代とともに変わっていくもの。
こんなふうに本来の言い方と誤用が両方使われる状態を、今は「言葉のゆれ」と表現するようです。
そして「ゆれ」の多くは一方に淘汰されて解消されることが多いとのこと。
ということは、いつか「ら抜き言葉」も正しい日本語になるかも?
あと100年では少したりない気もしますが、200年後だったらどうでしょう?
200年後の世界では、今とはかなり違う日本語が話されているかもしれませんね。
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