「還暦」の由来と風習

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暦の巡りに長寿と再生を祝う「還暦」の由来と風習

 

 

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還暦の由来

還暦は、「寿賀(じゅが)」と呼ばれる長寿のお祝いのひとつで、数え年61歳で迎える最初の長寿祝いです。

「本卦還り(ほんけがえり)」「華甲(かこう)」とも呼ばれ、その由来は中国から6世紀頃伝わった暦の「干支(えと)」と深いかかわりがあります

日本の伝統的な暦として現在も使われている干支は、正式には「十干十二支(じっかんじゅうにし)」といい、10年で一巡りする「十干(じっかん)」と、12年で一巡する「十二支(じゅうにし)」との組み合わせでできています。

干支は、「甲子(きのえね)」というように、十干と十二支で生まれ年を表しますが、周期の違う十干と十二支がひとつずつ順番に巡っていくため、再び生まれ年の干支が戻ってくるのは61年目になります。還暦は文字通り、「暦が還る」という意味なのです。

別称の「本卦還り」は、本卦(元の暦)に戻るという意味を、「華甲」は「華」の文字を分解すると6つの十と1つの一が含まれることと十干の最初の「甲」を当てることで61年目に干支が一巡することを、それぞれ表しています。

 

  • 【十干】:甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戌(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)
  • 【十二支】:子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)

 

干支と同時に長寿祝いの儀礼も中国から伝えられました。

「賀寿」と呼ばれるこの儀礼の始まりは、天平12年(740年)に、東大寺の起源とされる金鐘時(こんじゅじ)で行われた聖武天皇40歳のお祝いとされています。

奈良時代は日本人の平均寿命は短かったため、暦の節目である還暦を賀寿とすることは無かったようです。

当時は、40歳を初老として10年おきに「四十の賀」「五十の賀」「六十の賀」という儀礼の形をとっていました。

長寿の祝いとして還暦が定着するのは、平均寿命が延び、現代につながる日本の生活文化が醸成されたといわれる室町時代です。

さらに江戸時代になると、還暦を祝う習慣は庶民にも広まり、全国各地で様々な還暦の風習が生まれました。

 

詳しくはこちら ⇒日本人の平均寿命はこうして移り変わった!

還暦の風習

還暦のお祝いでは、赤いちゃんちゃんこや頭巾など、赤いものを身につける風習が古くから行われています。

これは、日本では古くから赤い色には魔除けの力があるとされ、麻疹(はしか)や疱瘡の神様が嫌う「難病除けの赤」として、赤ちゃんに赤い産着を着せる習慣があったことに由来しています。

還暦祝いは、生まれた年の暦に還ることから「赤ちゃんに還る」とされ、赤ちゃんと語呂が似た赤いちゃんちゃんこや、産着に見立てた赤い下着を身につける風習が生まれました。

また、還暦の満61歳はちょうど男性の厄年にあたることから、厄除けとして還暦と赤い色が結びついたとも考えられています。

赤色の品を贈ったり、身につけたりする他、神社などでお祓いをする風習も各地に見られます。

たとえば、石川県では還暦と同時に男女を問わず厄払いをする風習があり、還暦祝いを節分から一週間以内の吉日に行う地域もあるようです。

また、三重県では厄払いのお参りの帰りにハンカチを落とすという厄落としの風習があります。

この他にも、伊勢・松坂地方では二十日正月過ぎから節分までの間に、氏神様や観音様にお供え物をして厄払いをします。

赤色のアイテムは全国的に見られ、長野県の赤い烏帽子(えぼし)や、中国地方や四国地方の赤いちゃんちゃんこと頭巾、福岡県では鶴亀模様の着物に赤いちゃんちゃんこを着てお祝いをします。

佐賀県では赤いちゃんちゃんこの他に、座布団を贈る地域もあります。

また、四国の香川県では二つの大餅や、豆を入れた紅白のお餅を配るなど、その土地ならではの還暦のお祝いが受け継がれています。

現代は平均寿命も長くなり、数え年61歳で「老年」というイメージはなくなりつつあります。

また、核家族化や少子化で、還暦の風習は簡略化される傾向にあり、家族が集まって行う食事会や、好みのものをプレゼントする「特別な誕生日」という感覚で祝う場合も多くなっているようです。

その一方で、還暦は職場によっては定年のひとつの目安であるなど、人生の節目としての暦の巡りとしての風習もまだ生きています。

形は様々ですが、60年かけて巡ってくる暦の意味を知って干支をお祝いし、その寿ぎを祝う人もあやかるという風習は受け継いでいきたいものですね。

 

 

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