長寿祝いは還暦から始まり、緑寿古希喜寿傘寿米寿卒寿白寿百寿と続きます。

もともとは中国から伝わった文化ですが、この年齢を表す名称については、実はほとんどが日本生まれ。

この中で一つだけ、中国でも同じ呼び方をするものがあります。

それが「古希(古稀)」です。

 

1.「古希」の由来

 中国の有名な詩人、杜甫の『曲江』という詩の中に、

人生七十古来稀(まれ)なり」という一節が登場します。

時代は8世紀、唐の時代。
日本では奈良時代にあたり、平均寿命は30歳くらいだったと言われています。
当時70歳まで生きる人は、本当に少なかったんでしょうね。

この「人生七十古来稀(まれ)なり」から、70歳を「古希(古稀)」と呼ぶようになりました。

ここだけ取り上げられることが多いのですが、
こちら詩の一部なので、この前後に物語があります。

 

2.杜甫 『曲江』

もとの詩はこちら

朝より回りて日日に春衣を典し
毎日江頭に酔を尽くして帰る
酒債は尋常 行く処に有り
人生七十 古来稀なり
花を穿つ蛺蝶 深深として見え
水に点ずる蜻點 款款として飛ぶ
伝語す 風光共に流転す
暫時 相賞して相違う莫れと

  

簡単にわかりやすく言うと(かなり意訳しています)

※杜甫って確か教科書に出てきたなあ、くらいの知識しかない素人が調べた結果なので、温かい目で見て(読んで)いただけたらと思います。

着るものを質に入れてまで飲み歩いて、
毎日酔っ払って帰る。
酒代のツケもいたるところに。

でも人生70年も生きるなんてまれ

目の前には花に舞う蝶や、トンボのいる水辺の美しい景色
風も光もすべて移り変わっていく
今は何もかも忘れて、しばらくこの美しい景色に浸っていよう

 

杜甫が40代後半で詠んだ詩でした。

蝶とかトンボとか言う前に、まずはお酒と借金をなんとかした方がいいのでは、と私は思ってしまったんですけど、調べてみたところ、どうやらそんなに単純な話ではなさそうです。

 

3.杜甫の人生

一瞬、お酒好きで浪費してしまうダメな風流人かと思ってしまったのですが、実際はまったくそんなことはなく、杜甫はかなり不遇な人生を送った人でした。子供を飢えで亡くしたこともあり、ずっと貧しかったようです。

お金がないのは分かっているけど、それでもお酒を飲んで紛らわすしかない、苦悩の人生だったのかもしれません。
そう考えると、この詩もとても物悲しい感じがしてきます。

そしてその後、70歳は稀だと言ったとおり、杜甫は58歳で亡くなりました。

 

4.「人生七十古来稀なり」とは

人生のはかなさや苦しさを歌ったものか、それとも自然の美しさに感動する心を歌ったものなのか、感じ方はそれぞれだと思いますが、いかかがでしょうか?

私は最初、人生に投げやりになってしまった詩だと思いましたが、何度も読んでいるうちに、人生ははかないものだから、自分が感じるまま、思うように生きた方がいいよ、と言われているような気がしてきました。

 

私の訳がお粗末すぎて、良さが伝わらなかったかもしれません!
気になったかたはきちんと調べてみてくださいね。

 

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